なぜ、多くのビジネスパーソンはタスク管理にOutlookを選ぶのか?

多くの企業で標準的に導入されているメールソフト、Microsoft Outlook。あなたの受信トレイにも、対応が必要なメールがタスクとして溜まってはいないでしょうか。nulab社が2024年2月に行った調査では、何らかの方法でタスク管理をしている人のうち、実に31.2%がメールやカレンダー機能を利用しているという結果が報告されています。
新しいツールを検討する前に、まずは使い慣れた環境で効率化を図りたいと考えるのは、ごく自然なことです。では、なぜOutlookがこれほどまでにタスク管理の第一歩として選ばれるのでしょうか。その背景には、他のツールにはない3つの明確なメリットが存在します。
理由1:追加コストなしで、すぐに始められる
最大のメリットは、追加のライセンス費用が一切かからない点です。多くの企業ではMicrosoft 365が既に業務基盤として導入されており、従業員は特別な申請や稟議なしに、Outlookの機能をすぐに使い始めることができます。コストをかけずに業務改善の第一歩を踏み出せるこの手軽さは、ツール導入のハードルが高いと感じている組織にとって大きな魅力です。
理由2:普段使っているメールソフトで業務が完結する手軽さ
ビジネスコミュニケーションの中心であるメールソフト内でタスク管理が完結する点は、日々の業務効率を大きく左右します。複数のアプリケーションを立ち上げたり、画面を切り替えたりする手間がなく、メールを確認する流れのまま、自然にタスクの整理や確認を行えるため、心理的な負担が少なく、継続しやすいという利点があります。
理由3:受信メールをそのままタスク化できるシームレスな連携性
私たちの仕事の多くは、クライアントからの依頼や社内での確認事項など、メールを起点に発生します。Outlookでは、これらの受信メールをドラッグ&ドロップなどの簡単な操作で、そのままタスクとして登録できます。メール本文がタスクの詳細に自動で引用されるため、後からメールを探し直す手間や転記ミスを防ぎ、抜け漏れなくタスクを管理することが可能です。
まずは基本から!Outlookのタスク管理を担う2大機能 ToDo と フラグ

Outlookでタスク管理を行う上で中心となるのが、Microsoft ToDoとフラグという2つの機能です。これらは似ていますが、その役割と最適な利用シーンは異なります。いわば、ToDoは計画的に取り組むタスク、フラグは瞬間的な備忘録です。この違いを理解し使い分けることが、Outlookでのタスク管理を成功させる鍵となります。
機能1:Microsoft ToDoで本格的なタスクリストを作成する
Microsoft ToDoは、Outlookと連携する本格的なタスク管理アプリケーションです。Outlook内で作成したタスクは、自動的にToDoアプリにも同期されます。
- 特徴: 期限の設定はもちろん、毎週月曜日といった繰り返し設定、タスクを細分化するサブタスク、関連資料の添付など、詳細な管理が可能です。スマートフォン専用アプリもあり、外出先からも快適に操作できます。
- 利用シーン: 複数のステップが必要な企画書の作成や、期限が明確に決まっている報告業務の管理に向いています。
機能2:フラグで受信メールを簡易的なリマインダーとして管理する
フラグは、受信トレイにあるメールに直接目印を付けるシンプルな機能です。フラグを付けたメールは、Outlook画面右側のToDoバーに一覧表示され、簡易的なタスクリストとして扱えます。
- 特徴: メールを開いたままワンクリックで設定できる手軽さが最大の魅力です。あくまでメールそのものがタスクとなるため、後で返信する、内容を再確認するといった、メールに関連する短期的な備忘録として非常に役立ちます。
- 利用シーン: 数時間後や今日中に返信が必要なメールを、忘れないように一時的にマーキングしておく場合に最適です。
結局どっち? ToDo と フラグ の使い分け完全ガイド
両者の違いを理解し、状況に応じて適切に使い分けることで、メール処理の効率は格段に向上します。
| 項目 | フラグ機能 | Microsoft ToDo |
| 手軽さ | ◎(ワンクリックで設定可能) | 〇(ドラッグ&ドロップなどで登録) |
| 管理の粒度 | △(メールがタスクそのもの) | ◎(サブタスクへの分解が可能) |
| 期限設定 | 〇(簡単なリマインダー設定) | ◎(繰り返し設定など詳細な設定が可能) |
| スマホ対応 | △(メールアプリでの確認) | ◎(専用アプリで快適に操作可能) |
| おすすめの用途 | 後で返信するなどの短期的な備忘録 | 期限のある重要なタスク、複数工程のタスク管理 |
基本的な使い分けとしては、すぐに対応が必要なメールにはフラグを立て、じっくり計画的に取り組むべきタスクはToDoに登録する、というルールを設けるのがおすすめです。
【5分で実践】メールを起点にタスクを作成する2つの基本操作
ここでは、日々の業務で最もよく使う、受信メールからタスクを作成するための具体的な操作方法を2つ、画像付きで分かりやすく解説します。
方法1:メールをToDoアイコンにドラッグ&ドロップして登録する
これが最も直感的で基本的な操作です。タスク化したいメールを、Outlook画面下部にあるToDoのアイコン(チェックマークのアイコン)にドラッグ&ドロップするだけで完了します。
- 受信トレイからタスクにしたいメールを選択します。
- そのメールをマウスで掴んだまま、画面左下のToDoアイコンまで移動させます。
- アイコンの上でマウスを離すとタスクの新規作成画面が開きます。件名や本文はメールの内容が自動でコピーされるため、必要に応じて期限などを設定し、保存すれば完了です。
【画像挿入推奨:Outlook上でメールをToDoアイコンにドラッグ&ドロップしている操作画面のGIF画像またはスクリーンショット】
方法2:メールにフラグを立ててToDoバーのタスクリストに表示させる
より手軽に、一時的な備忘録としてタスクを管理したい場合に有効な方法です。
- 受信トレイで、タスクにしたいメールの一番右にある旗のアイコンをクリックします。
- Outlookの表示タブからToDoバーを選択し、タスクにチェックを入れます。
- 画面右側にToDoバーが表示され、フラグを立てたメールがタスクとして一覧表示されます。対応が終わったら、再度旗のアイコンをクリックするか、一覧からチェックを入れれば完了です。
【画像挿入推奨:メールにフラグを立て、ToDoバーにそのメールが表示されているOutlook画面のスクリーンショット】
【応用編】クイック操作機能でタスク作成を1クリックに短縮する
毎回ドラッグ&ドロップする操作をさらに効率化したい方には、クイック操作機能がおすすめです。これは、一連の操作をボタン一つで実行できるように登録できる便利な機能です。
- Outlookのホームタブにあるクイック操作ボックスの右下矢印をクリックし、新しいクイック操作からタスクの作成を選択します。
- 名前(例:タスク登録など)を付けて、完了をクリックします。
- これ以降は、タスク化したいメールを選択した状態で、ホームタブに追加されたタスク登録ボタンをクリックするだけで、瞬時にタスク作成画面を開くことができます。
チームでのタスク管理は可能?Outlookの共有機能とその実力

個人のタスク管理には便利なOutlookですが、チームでのプロジェクト管理にも使えるのでしょうか。結論から言うと、限定的な共有は可能ですが、本格的なプロジェクト管理ツールとは目的が異なり、いくつかの課題が伴います。
操作手順:ToDoリストを他のユーザーに共有する方法
Microsoft ToDoには、作成したタスクリストを他のユーザーと共有する機能があります。
- Microsoft ToDoアプリを開き、共有したいタスクリストを選択します。
- 画面右上にある共有アイコンから招待リンクを作成を選択します。
- 生成されたリンクをメンバーに送ることで、同じリストを共同で編集できます。ただし、これはあくまでリスト単位の共有であり、プロジェクト全体のタスクを俯瞰するのには向いていません。
タスクの依頼機能で担当者と期限を明確にする
Outlookには、特定の相手にタスクを割り当てるタスクの依頼機能も備わっています。
- 新しいタスクを作成する際に、タスクの依頼ボタンをクリックします。
- 宛先に担当者のメールアドレスを入力し、件名や期限を設定して送信します。
- 相手が承諾するとそのタスクが相手のタスクリストに追加され、進捗更新も通知されますが、依頼された側が能動的に報告しない限り、リアルタイムでの状況把握は困難です。
共有予定表をチームのタスクボードとして活用するアイデア
応用的な使い方として、チームの共有予定表を簡易的なカンバンボードのように活用する方法も考えられます。時間を指定せず終日の予定としてタスクを登録し、進捗に応じて色分けするなどの独自ルールを設ければ、簡易的な進捗共有は可能です。しかし、これはあくまで代替案であり、本来の用途とは異なるため、操作が煩雑になりがちです。
メリットだけじゃない!Outlookでのタスク管理が抱える3つの限界点
Outlookは手軽に始められる一方で、本格的なプロジェクト管理を行おうとすると、いくつかの無視できない限界点が見えてきます。これらの課題を理解することが、自社にとって最適なタスク管理方法を見つける第一歩となります。
限界1:複数プロジェクトを横断した進捗状況の把握が難しい
最大の課題は、一覧性の低さです。多くのビジネスパーソンは複数のプロジェクトを同時に担当していますが、Outlookのタスク管理機能は、プロジェクトという単位でタスクを横断的に把握するのが苦手です。どのプロジェクトが順調で、どれが遅れているのか、といった全体像を俯瞰的に把握することが難しく、結局、各担当者の自己管理に依存しがちになります。
限界2:ガントチャートなどがなく、進捗の視覚的な管理が困難
プロジェクト管理において、全体のスケジュールやタスク同士の依存関係を視覚的に把握することは非常に重要です。しかし、Outlookには標準でガントチャートやカンバンボードといった機能が備わっていません。タスクはリスト形式で表示されるため、プロジェクト全体のタイムラインや、各タスクの前後関係を直感的に理解することが困難です。
限界3:リアルタイムでの共同編集やタスクへのコメントがしにくい
チームでのプロジェクト遂行には、円滑なコミュニケーションが不可欠です。Outlookでもタスクの共有は可能ですが、複数人が同時に一つのタスクリストを編集したり、特定のタスクについて議論したりする機能は貧弱です。結局、タスクに関するやり取りは別途メールやチャットで行うことになり、情報が分散し、後から経緯を追いかけるのが難しくなるという問題が発生します。
診断:Outlookでのタスク管理は、こんな人・チームにおすすめ
これまでのメリットと限界点を踏まえると、Outlookでのタスク管理が有効なケースは、以下のような特定の状況に限られると言えます。自社の状況がこれに当てはまるか、一度チェックしてみてください。
個人のToDo管理を、あくまでメール業務の延長線上で完結させたい人
業務のほとんどがメール対応で、発生するタスクも後で返信する、添付ファイルを確認するといった個人で完結するものが中心の方には、Outlookの手軽さは大きなメリットになります。新しいツールを覚えるまでもなく、日々の抜け漏れを防ぎたいというニーズに最適です。
チーム内での簡単なタスク依頼や進捗共有で十分な小規模チーム
メンバーが数名程度で、お互いの業務内容を常に把握できているような小規模なチームであれば、Outlookのタスクの依頼機能や共有リストでも、簡易的な進捗共有は可能です。複雑なプロジェクト管理は不要で、誰が何を担当しているかさえ分かればよい、というレベルであれば、十分機能するでしょう。
セキュリティポリシー上、新しいツールの導入が難しい場合
企業によっては、情報システム部門の許可なく外部のクラウドサービスを導入することが厳しく制限されている場合があります。そのような環境下では、既に社内で利用が許可されているMicrosoft 365の機能範囲内で業務改善を図ることは、現実的かつ有効な選択肢となります。
Outlookの限界を超える 専用タスク管理ツール という選択肢

もし、あなたのチームが前述のケースに当てはまらず、Outlookでのタスク管理に限界を感じ始めているのであれば、それは専用のタスク管理ツールへの移行を検討すべきサインです。
専用ツールが持つ、生産性を飛躍させる3つのメリット
専用ツールは、まさにチームでのタスク管理を最適化するために設計されています。
- 高い一覧性: 複数のプロジェクトをダッシュボードで一覧表示し、全体の進捗を瞬時に把握できます。
- 視覚的な管理: ガントチャートやカンバンボードで、誰が見ても直感的に状況を理解できます。
- 情報の一元化: タスクに関連する全てのコミュニケーションやファイルを一箇所に集約し、情報の分散を防ぎます。
Excel(エクセル)でのファイル管理からも同時に脱却できる理由
タスク管理をExcelで行っているチームも少なくありませんが、Excel管理もリアルタイム性やバージョン管理の煩雑さといった課題を抱えています。クラウドベースの専用タスク管理ツールに移行することは、OutlookとExcelが持つそれぞれの限界を、同時に、かつ根本的に解決するための最も効果的なアプローチです。
無料で始められるツールを選ぶ際に確認すべきポイント
近年、多くの専用ツールが無料で始められるプランを提供しており、導入のハードルは大きく下がっています。しかし選定時には、無料プランでは利用できる人数や機能に制限があることを理解しておく必要があります。将来的にチームが拡大した際に、有料プランへスムーズに移行できるか、データは引き継げるか、といった拡張性を事前に確認することが重要です。
失敗しないタスク管理ツールの選び方3つのポイント
数あるツールの中から、自社のチームに本当に合ったものを選ぶためには、どのような基準で比較検討すればよいのでしょうか。ここでは、特にOutlookからの移行を考える上で重要な3つのポイントを解説します。
ポイント1:誰でも直感的に使えるシンプルな操作性か
最も重要なのは、ITツールに不慣れな人でも、マニュアルを見ずに使い始められるかという点です。Outlookの手軽さに慣れているメンバーにとって、操作が複雑な多機能ツールは強い抵抗感を生みます。UIがシンプルで、ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作が中心のツールを選ぶことが、チーム全体への定着を成功させる鍵となります。
ポイント2:プロジェクト全体の状況をひと目で把握できるか
Outlookでの管理における最大の課題であった一覧性の低さを解決できるかは、ツール選定の核となるポイントです。複数のプロジェクトを横断して、自分やチーム全体のタスクを一つの画面で俯瞰できる機能があるかを確認しましょう。これにより、常に状況に基づいた的確な優先順位判断が可能になります。
ポイント3:Outlookカレンダーとの連携はスムーズか
完全にOutlookから脱却するのではなく、メールやスケジュール管理は引き続きOutlookを使い続けたい、というケースは非常に多いです。そのため、Outlookカレンダーと双方向で同期できる連携機能は極めて重要です。ツールで設定したタスクの期限が自動でOutlookカレンダーにも反映されれば、スケジュール管理の手間を二重にすることなく、スムーズな移行が実現します。
まとめ:Outlookをタスク管理の入り口とし、チームの成長に合わせて最適な方法へ

ここまで、Outlookを使ったタスク管理の具体的な方法から、その限界、そして次のステップについて解説してきました。
まずはOutlookの標準機能から試してみるのが第一歩
まだ何もツールを使っていないのであれば、まずは本記事で紹介したOutlookのToDoやフラグ機能から試してみるのが良いでしょう。追加コストもかからず、メール業務の効率化をすぐに実感できるはずです。
チームでの本格的なプロジェクト管理には限界があることを理解する
一方で、チームの規模が大きくなったり、複数のプロジェクトが複雑に絡み合ってきたりすると、Outlookだけでの管理は必ず限界を迎えます。進捗の全体像が見えない、情報が分散するといった課題は、チームの生産性を大きく損なう原因となります。
生産性の壁を感じたら、専用ツールへのステップアップを検討する
もし、日々の業務の中で管理のための作業に時間を取られていると感じ始めたら、それはタスク管理の方法を見直す絶好の機会です。チームの成長段階に合わせて、Outlookという入り口から、より本格的な専用タスク管理ツールへとステップアップすることを検討しましょう。
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複数プロジェクトを1画面で確認できる、Outlookにはない圧倒的な一覧性
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